難しいのは「血圧を120未満にするために降圧剤を飲めばいい」とはいかないところだ。高血圧の予防治療が専門の新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が指摘する。
「降圧剤の服用には、腎機能の低下を招くなど副作用のリスクが伴います。薬の効果が強く出ることで血圧が下がり過ぎ、脳に血流が届かずめまいによる転倒や交通事故といったことも起きています。特に高齢者の転倒事故は大腿骨骨折など寝たきりの生活に直結するケースも多い」
高血圧と薬の両方のリスクを考える必要があるのだ。前出の上島氏はこういう。
「降圧剤を飲み始める前に、まず減塩を中心とした食生活の見直しに取り組む。規則正しい生活やジョギングなど有酸素運動を日常生活に取り入れることも有効です」
すでに降圧剤を服用している人も、「2種類以上の血圧の薬が入った配合剤や、複数の降圧剤を飲んでいる人は医師と相談して減薬を考えたほうがいい」(前出・岡田氏)という。
重要なのは「年齢」の観点だ。『NIPPON DATA80』でも、年齢が上がるほど、血圧が高い人と低い人の死亡リスクの差は縮まっていく。