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児童虐待の対極にある「3歳の子に救われたお母さん」の話

子どもの力は大きい

 連日のように報じられる児童虐待のニュースに、胸がふさがる思いをしている人も多いだろう。子どもを守るべき親が、どうして逆に幼い子どもを虐げるのか? 親の愛情と責任はどこに消えたのか? 近くにいた大人たちはなぜそれを救ってあげられなかったのか──。事件の詳細が報じられるほどに、子供たちを救えなかった無念さが残る。

 本来、強くて優位な立場にいる人間が、弱くて抵抗もできないような相手を執拗に虐げるのはなぜなのか? これまでのべ8000人以上をカウンセリングしてきた経験を持つストレス・マネジメント研究者の舟木彩乃氏は、こう解説する。

「親が幼い子どもを虐待してしまうのは、親自身が未熟であるケースや、なんらかの精神的疾患に罹患している、あるいは親自身が過去に虐待を受けた既往があるなどの要因が複雑に絡み合っていることが考えられます。そのほかにも、日常生活のなかで過度なストレス(経済的困窮や育児困難など)がかかっているケースもあるため、一概には言えません。

 それでも、虐待者に共通していえるのは、『健全な自己愛』が育っていないことだと思います。それは、ありのままの自分を“受け入れられない”とか“愛せない”ということです。健全な自己愛が育っていない人は、周囲の人間を愛することができません。例えば、我が子に対しても無条件の愛情を注ぐのではなく、何かしら条件付きの愛情(学校の成績が良ければ愛せる、など)しか持てなかったりします。その条件が満たされないと、抵抗できない子どもに対して直接、自分の不満をぶつけるような行動に出るのです」

 自分を愛せないがために周囲をも愛せない──そういわれても、虐待される子どもたちは救われない。“負の連鎖”を断ち切る方法はないのか?

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