芸能

NHK『トクサツガガガ』は古典的で普遍的な王道ドラマ

人間の葛藤の有様が描かれる(番組公式HPより)

 ドラマを見る上で、「番宣」が果たす効果は大きい。一方で、不意の出会いがもたらす幸福もある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が言及する。

 * * *
 NHK総合金曜夜10時という王道枠。それにしては、あまりにニッチ。連続ドラマのテーマとしてはまさしく「隙間」。そう、「特撮オタク女子」を題材にしたドラマ『トクサツガガガ』のことです。

 スタート時、第1話冒頭でいきなり特撮シーンが登場。ズラリ並んだ戦隊ヒーローたちがポーズ。キックにジャンプとマニアックなこだわりが炸裂。好きな人は、嬉しいでしょう。けれど、私は正直、引いてしまった。これって、もしや小学生むけドラマ? 親子で一緒に見る「ドラマ10」?

 特撮オタクに戸惑いちょっとついていけない。ということで、微妙な距離を保ち、つかず離れずにいたのでした。

 そして先週。正直に言えば『トクサツガガガ』の次の時間に放送される『ドキュメント72時間』を見ようと、早めにチャンネルをNHKにあわせたのです。

 意図せず、目に飛び込んできた『トクサツガガガ』第6話。これがもう、想定外の迫力!驚愕! 数分間、息を呑んで見入ってしまいました。心、掴まれました。これぞまさしくドラマ!

 主人公は小芝風花さんが演じる仲村叶。「女子力が高い」と他の人から思われている一見普通のOL。けれど実は「特撮オタク」で戦隊ヒーローにぞっこん。そのオタク趣味を世間の目から隠したい。その気持ちが日々葛藤を生む。たしかに「特撮オタク」女子という存在は職場や世間になかなか理解されないでしょう。

 数少ない同好の士を見つけてはつながりあって生きている。しかし、時に無理矢理、「社会」という外部が入りこんでくる。他者が泥足で踏み込んでくる。すると自分の世界が壊れそうになる。これまではピンチに陥った時、叶にしか見えない特撮ヒーローが出現し危機を脱することできた……しかし第6話は違う。

 母の志(松下由樹)は、特撮なんて大嫌いで、叶が幼い頃からカワイイ系をぐいぐい押しつけてきた。上京した母は合い鍵で叶の部屋に入り、大人になった叶がいまだ特撮ヒーローオタクであることに大ショックを受け、責めまくる。

その親子攻防シーンたるや、ドラマツルギー全開!

「やっぱり恥ずかしいと思っているんでしょ!」と母。

叶が大切にしているヒーローのフィギュアを、手に握って怒鳴る。

「いい年して周りの人からどう見られているのか、わかっているの!」

叶もこの時ばかりは特撮ヒーローに救ってもらうわけにもいかず、直接母と対決するしかない。と、反論開始。

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