ライフ

築地で57年「喫茶マコ」が閉店、銀座バー経営者が引き継ぐまで

赤い扉が目印「喫茶マコ」

 築地市場の移転に伴い、『コーヒーぎんぱ』、『喫茶ボン』、『さかえや』など、この地で長く愛された喫茶店が次々と閉店。

 91才の名物ママ・熊谷昌子さんがひとりで切り盛りしていた『喫茶マコ』もそのひとつで、昨年5月、惜しまれながらも57年の長い歴史に幕を閉じた。

 銀座でバーを経営していた吉田哲也さんが事務所を探しているときに、「2週間後に空き物件になる」と紹介された物件が『喫茶マコ』だった。迷路のような路地を抜けて2階に上がり、妖艶な赤い扉を開けると、そこには昭和レトロな純喫茶の世界が広がっていた。

「お店の由来を聞いたら、“当時好きだった男にマコって呼ばれていたの”なんて笑うママのすっかりファンになりました。あと2週間でこの場所がなくなってしまう…そう思うと寂しくて、最初は事務所にする場所を探していましたが、“『喫茶マコ』をなくしてはいけない。ママが守り続けてきた大切な店をぼくが引き継いでいこう”と強い使命を感じたんです」(吉田さん)

 こうして築地で働く人々の憩いの場を提供するため、『喫茶マコ』の店長となった吉田さん。店には昌子ママの愛情がたっぷり詰まった、名物のお雑煮も健在だ。お雑煮のだしは友人の『長生庵』女将・松本照代さんが毎日届けてくれているという。

 平成が終わりを迎える今、昭和の面影を継いでいく若い力がある。そんな古き良き繋がりが、築地には今も残っている。

撮影/菅井淳子

※女性セブン2019年3月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんとの写真を公開した大谷翔平(公式インスタグラムより)
《さようなら長嶋茂雄さん》大谷翔平から石原裕次郎まで、誰からも愛された“ミスター”の人生をスターたちとの交流で振り返る 
女性セブン
沖縄を訪問される天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年6月4日、撮影/田中麻以)
《愛子さま 初めての沖縄ご訪問》ブルーのセットアップで母娘の“おそろい”コーデ再び! 雅子さまはくすみカラーで落ち着いた着こなしに
NEWSポストセブン
人気インフルエンサーがレイプドラッグの被害者に(Instagramより)
《海外の人気インフルエンサーが被害を告発》ワインに“デートレイプドラッグ”が混入…「何度も嘔吐し、意識を失った」「SIMカードが抜き取られていた」【オーストリア】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
沖縄を訪問される天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年6月4日、撮影/田中麻以)
《愛子さま 初めての沖縄ご訪問》ブルーのセットアップで母娘の“おそろい”コーデ再び! 雅子さまはくすみカラーで落ち着いた着こなしに
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン