国内

認知症薬に医師 「高価なうえに、治るわけではない」

医師がのまない市販薬一覧

「毒にも薬にもなる」という言葉がある。病気やつらい症状を治してくれる「薬」でも、効き目が強いがゆえに、服用の量や仕方を間違えたり、個人の体質と合わなかったりすることで、逆に体調を悪化させる「毒」にもなる。薬に精通する医師たちは、どんな薬に注意しているのだろうか。

◆ジェネリック薬で心配なのは「添加物」

 財布に優しいジェネリック薬。医療費削減につながることから国も使用を推進しており、積極的に処方する医師も多い。

「たしかに成分は同じだが、添加物が入っていたり、製法が違ったりすることは否めない。その結果、効能が低い、副作用が出るなどの問題点が指摘されているのも事実です」(都内の内科医)

 新潟大学名誉教授の岡田正彦医師もこう話す。

「20年前、30年前からあって、効果や副作用がしっかりわかっている薬が、やはり安心できます」

◆認知症薬は効果だが「治るわけではない」

 医師たちが「どれも効果がない」と一刀両断にしたのが認知症薬だった。「クリニック徳」院長の高橋徳さんはこう話す。

「例えば『ドネペジル塩酸塩』(商品名・アリセプトなど)は販売されてもう20年以上経つ代表的な認知症の薬ですが、決して“症状がよくなる”わけではない。実際、あるアメリカのクリニックが行った調査では、服用から半年ほどは効き目があるが、3年以上経つとのんでいない患者と認知機能が同じだったと報告されています。そのうえ値段も高い。のむ意味がありません」

 薬にも流行り廃りがある。特に新薬は注目されやすく多く用いられるが、必ずしも効果が約束されているわけではない。高橋さんが言う。

「例えば、数年前くらいから流通し始めた『プレガバリン』(商品名・リリカ)という痛み止めがよく売れていますが、私はのみたくない。薬の作用で知覚神経をぼやけさせて痛みを取るという触れ込みですが、副作用で眠気が出たり、ふらついたりするのが怖い。加えて知覚神経がぼやけるならば、痛みを取る神経も同時にぼやけてしまい、プラスマイナスゼロになるはず。“神経をぼやけさせた結果、痛みに効く”というのは論理的におかしな話なのです」

 現在ピークを迎えつつある花粉症の治療では「ステロイド注射」も知られるが、健康増進クリニック院長の水上治さんは注意を促す。

「医師にステロイドを注射されて症状がピタッとやみ、大喜びする患者さんがいますが、使い続けると免疫力が下がって、逆に症状が悪化してしまう場合もある。充分な説明もせずに安易にステロイドを出す医師は信用してはいけません」

「医者がのまない」ような薬を避けるにはどうすればいいのか。東邦大学医療センター大橋病院・婦人科の高橋怜奈医師はこうアドバイスする。

「多種多様な薬が市販されていますし、副作用の情報もネット上にあふれている。その分、情報が膨大すぎて自己判断するのが非常に難しいのが現実です。いちばんいいのは医師か薬剤師に聞くこと。市販薬はたしかに簡単に手に入りますが、便秘薬のように間違った使い方を続けていると取り返しがつかなくなる」

 くれぐれも「薬のせいで体を壊した」なんてことにならないよう、ご注意を。

※女性セブン2019年3月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン