ビジネス

象印、電気ケトル主流の時代に「電動ポット」開発の理由

スタイリッシュなデザインも人気のポット

 象印マホービンが2月に発売した「STAN.」シリーズは、スタイリッシュながらも食卓になじむ温かみのあるデザインが特長の家電シリーズだ。その中の1つが、電動ポットだが、湯沸かしにおいては電気ケトルが主流の時代になぜ、あえてポットを開発したのか? 開発担当者に話を伺った。

『マイコン沸とう電動ポットCP-CA12』象印マホービン
 コーヒーカップ2杯分の水(約240ミリリットル)は約2分で沸とうさせることができる。約幅175×奥行き270×高さ250mm。容量1.2リットル。カラーはブラック。オープン価格(実勢価格約1万6000円)。

 象印マホービンから2月に発売された「STAN.(スタン)」は、共働き夫婦や子育て世帯に向け、“楽しむ家事”“ラクな家事”をテーマにIH炊飯ジャ-、コーヒーメーカー、ホットプレート、電動ポットの4製品を展開する新シリーズだ。『マイコン沸とう電動ポットCP-CA12』は、その中の1つ。今までシニア向けの需要が多かった電動ポットだが、これからの未来を見据え、子育て世代の人気を取り入れたいという思いで、ラインアップに加えられた。

 開発が始まったのは2017年の春頃。まずは若い世代に受け入れられるようなデザインイメージを作り上げ、そこからシリーズにする家電のラインアップを決めていった。

 昨今、お湯を沸かす家電としては、電気ケトルが主流になってきたが、今回あえて電動ポットを採用したのには理由がある。それは、百花繚乱でデザインも豊富な電気ケトルではなく、電動ポットのデザイン性を高めることで、指一本でラクに注げて保温もできるという長所を改めてユーザーに伝えたかったのだ。

 ふたを開けなくても、お湯の残量が外からわかる「赤玉水量計」は電動ポットならではのおなじみの機能で、スタイリッシュな中にどこかほっとなつかしさを感じることができるのが嬉しい。

「STAN.」シリーズのデザインイメージは「器」。どの商品も上広がりのデザインで、テーブルやキッチンになじみやすくなっている。しかし、このデザインを実現するために、技術面で苦労することになる。

 まず、通常の設計条件のもとにこのデザインを実現しようとすると、とても大きなサイズの商品になってしまう。また、特徴的な注ぎ口の形がハードルとなり、従来の組み立て方式が使えないのだ。製造部門にも協力を仰ぎ、大きさの問題は操作部をできるだけ前方に集中させて余分なスペースを詰めたり、ヒーターやポンプといった部品を新たに設計し直したりすることでクリアした。

 加えて、デザイン面での苦労もあった。「STAN.」シリーズはすべて違う工場で製造されている。それぞれの工場によって、得意とする技術が違うからだ。製造している工場が違うとそれぞれ質感の表現を合わせる必要が出てくる。特に、海外の工場にそれを伝えるために、何度もやり取りを繰り返した。

 発売後、日を同じくして、期間限定でコンセプトショップをオープン。ユーザーからは「象印がこんなおしゃれなシリーズを発売するなんて!」や「デザインがすてきなだけでなく、使いやすい」という声があったという。

 新生活の準備をしている人はもちろん、保温機能が搭載されているので、小型のオフィス用としても使い勝手がよさそうだ。

※女性セブン2019年3月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン