国内

サニーサイドアップ社長、上場は男社会で信頼を得る一手

スティービーアワードの授賞式でトロフィーを手に

 顔写真の上には、必ず「目玉焼き」をのせて、顔を隠す。昨年12月、東証一部に指定替えしたPR会社「サニーサイドアップ」(SSU)代表取締役社長の次原悦子さん(52才)にその理由を尋ねると、「恥ずかしいんです」と笑う。

 上場企業の社長といえば、自らが“会社の顔”として新聞やテレビに登場し、会社をアピールするのが当たり前の時代だが、次原さんは「スポットライトの陰や、ニュースの陰にいるのが私の仕事だから」と表舞台を避けてきた珍しい経営者だ。しかも、東証一部上場の「女性創業メンバー」が社長を務めている会社は、ないに等しい。

「私が17才の時、離婚した母が会社を辞め、東京・中野にあるマンションの一室でフリーランスで仕事を始めたんです。スタッフなんて雇えませんから、“ちょっと手伝いなさい”と言われたのが私の仕事人生のはじまり。放課後に、見よう見まねで仕事をするようになりました」(次原さん・以下同)

 ところが、数年後、20才そこそこの次原さんの手元に、小さな会社を残して、母が再婚し、香港へ移住。

「食べていくために必死でしたが、楽しかったですよ。高校時代からこの会社でしか仕事をしたことがありませんからね。他で働く選択肢など考えたこともありません。

 私の祖母も26才で戦争未亡人になって、女手ひとつで3人の娘を育てた。女性が働くことは、私にとってはごく自然なことでした。

 今は大手企業に就職して、難しい資格試験に合格して、転職を繰り返してキャリアアップし、その後会社を創業される女性も多いですよね。そんな“ピカピカなキャリアウーマン”に私がかなうはずはない。だから、私はいつまでも“雑草”なんですよ」

 社員数人の会社から始まったからこそ、次原さんにとって「社員は家族同然」だ。

「20代半ばの頃、初めて会社で『新卒採用』を募集したんです。それまでは、駅までの道のりで社員募集の手書きのチラシを電柱に貼っていましたから一念発起でした(笑い)。応募は大卒の3人。こんな小さな会社でも、働きたいと思ってくれたのがうれしくてうれしくて、3人の中から“選ぶ”なんてできなかった。だから3人とも採用しちゃったんですよね。7人中3人が新卒になってしまいました」

 1991年、日本で先駆けてスポーツマネジメント事業を立ち上げ、サッカーの中田英寿さんと契約して注目を集めた。以降、次原さんのアイディアと実行力で、PR業界のトップランナーになる。社員がグループ全体で500人近くになった今でも“初めての新卒社員”は一緒に働いている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の判決は執行猶予付きに(画像はイメージ、Getty)
「何もついてない、まっさらな状態で抱きしめたかった」呼吸器に繋がれた医療的ケア児の娘(7)を殺害した母(45)が語った「犯行時の心情」【執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト