「すでに有名予備校のカリスマ講師の授業が低価格で視聴できるようになっており、学力格差はテクノロジーで補完できるようになっている。そうなると、体験の差(体験格差)が能力の差として顕在化してきます。体験の効果は目に見えないので実感しにくいのですが、後になるほど差がついて人生の幸福度に影響するのです」(中村氏)

 だからと言って、特別な体験をさせる必要はない。都市部に住んでいるなら、夏休みなど家族で旅行に行くときに、たまには農家民宿に泊まるのも一つだ。見慣れない農村の風景を眺めて、伝統的な民家のつくりを観察したり、畑で収穫体験をしたりすれば、教科書に出てくる物語の情景描写の理解を深めたり、そこで暮らす生き物や植物、食への関心が強まるかもしれない。夕食時などに宿の主人から地域の伝統や風俗について語ってもらえば、その話しぶりや雰囲気が記憶となり、郷土史にふれる貴重な機会にもなるだろう。

 子どもの潜在能力を引き出すか、そのまま眠らせてしまうのかを分けるのは、親の認識の差だという。中村氏が続ける。

「体験を通して子どもは自分の興味のある分野、得意な方面にのめり込んでいきます。そのとき、最初は親が目的や目標を指し示す先導者となるべきですが、次第に横について走る伴走者になり、最後は沿道から声援を送る一ファンになるべきです。小学校の高学年にもなれば、親は伴走力を発揮していくといいでしょう」

 子どもの教育に熱心な親ほど子どもを手放すのが難しくなる。子育ての目的が経済的にも精神的にも子どもを自立させることだとすれば、何かと手や口を出すことだけが子育てではない。すべてわかって、何もせず、そっと見守るのも立派な子育てだ。

◆取材・文/岸川貴文(フリーライター)

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