「さまざまな意見を整理して、自分がどう感じ、考えるか、それをどう表現して伝えるかという訓練を日頃からする必要があります。ニュースに対する多くの意見を調べ、さらにそれを比べてみることは、その取っ掛かりになるでしょう。多角的に物事をとらえる視点を鍛えることになり、これは親がサポートすることで実行しやすくなります」(中村氏)
そうした訓練を繰り返すうちに、共通テストの記述式問題で出題されやすい時事的なテーマへの関心も深まっていくはずだという。
「たとえば、SDGs(「持続可能な開発目標」= 2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標)のような社会問題をテーマとして、自分がどのように感じたか、親子で話し合ってみるのもいいでしょう。考えをまとめて書いてみるのも重要です。そうして思考力、表現力が磨かれていけば、国語や英語に限らず、数学や物理、化学などの理数系科目の記述式問題にも生かすことができるはずです」(中村氏)
SDGsと言われると難しく感じるが、身の回りの話題につなげれば理解しやすい。普段利用するコンビニやスーパー、外食店などで課題となっているフードロス(食品廃棄)もその一つだ。それへの関心をきっかけに、自分が食べている食材がどこから輸入され、それはいつから始まったのかなどを調べれば、地理や歴史の勉強になる。また、その問題が世界ではどのように報じられているかを知るために、インターネットで海外メディアの記事を読めば英語の勉強にもなるだろう。
これまでのセンター試験対策のように知識だけを磨いてもコンピュータには敵わない。逆に言えば、コンピュータが苦手とする思考や表現といった力を高めていけば、今後、社会がどのように変化しても適応して活躍できる。従来の学習塾での受験勉強もいいが、それと同時に親子の普段の会話で深い思考が身につくように促すことも、親ができる受験サポートだ。
◆取材・文/岸川貴文(フリーライター)