これまで高血圧の治療を受ける患者が目標とする血圧は、75歳未満なら140/90(最高血圧/最低血圧)mmHg未満とされていたが、4月に日本高血圧学会が定める高血圧治療ガイドラインの改訂を控え、130/80未満に変更される。
しかし、「大櫛基準」では、血圧は65歳男性なら上が165、下が100までが基準範囲(正常値)で、130まで下げる必要はないことになる。なぜこれほど数値の開きがあるのか。
「そもそも高齢者は、ある程度血圧が高くなければいけないのです。年を重ねるにつれ、皮膚がかさかさになって硬くなるのと同様に、血管も硬くなっていきます」
これは動脈硬化ではなく、糖化という細胞の老化によって起きる現象だという。
「硬いゴムホースで水を送り出すには水に勢いがないといけないように、硬い血管を通して血液を送り出すには、血の勢い(血圧)も強くなければいけない。血圧が年齢によってある程度高くなっていくのは『正常』と言えるのです。だからこそ血圧の健康基準範囲も、年齢ごとに見る必要がある」
大櫛氏は年齢ごとの血圧の「大櫛基準」を下回ると起こるリスクについてこう話す。