記者会見には応じないと伝える福生病院の職員(共同通信社)

「私もシャント(透析のために血管につくる分路)の手術を福生病院で受けましたが、今回のようなことを医師が言うとは驚きました。『透析やめますか』というのは、透析しか生きる方法がない私たち腎臓病患者にとってありえない質問です」

 その後、「人工透析中止、死への誘導ではないのか」(神戸新聞)、「死の選択、都が経緯調査」(共同通信)とマスコミ各社が続報、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』ではレギュラーコメンテーターの玉川徹氏が「医学の否定」「自殺ほう助に近い」と厳しく指弾した。

◆「悪魔の医師」と呼ばれて

 これと似た状況がかつてあった。2006年に社会問題となった病気腎移植問題だ。

 重い腎臓病患者にとって人工透析は対症療法の延命措置に過ぎず、根本治療には腎移植が必要だ。しかし、日本ではドナーが非常に少なく、多くの患者が移植待ちのまま亡くなっている現実があった。

 そこで、腎臓移植の“ゴッドハンド”と呼ばれる外科医、万波誠・宇和島徳洲会病院泌尿器科部長らががん患者から摘出した腎臓からがん細胞を除去して他の腎臓病患者に移植する手術を行なっていたのである。それが発覚すると、日本ではタブーとされる手法だったことから、医学会やメディアから「悪魔の医師」と批判を浴びた。当時、万波氏はこう反論していた。

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