自由診療扱いなので、クリニックによっては極めて高額な治療費を設定している。ただし、これらの治療法は、比較臨床試験などの科学的な手法で有効性は証明されていない。実際に、治療を受けて、虫歯が悪化した患者の例を歯科医から聞くことが少なくない。的確な根管治療を行なえば、神経を抜いた歯でも長期間使用できることを付け加えたい。
◆抜歯後、「ブリッジ」以外の選択肢を示されない
虫歯が進行して抜歯が避けられない場合、保険診療で一般的なのが「ブリッジ」だ。抜歯した両隣の歯に、橋をかけるように設置する。60代で平均2つのブリッジがある。
だが、詳しい説明をせずに治療を進める歯科医もいるという。強く噛めるし、費用も手軽だ。しかし、両隣の歯は大きく削られてしまう。それが歯の寿命に影響を与えている、という指摘も無視できない。
その他、保険では「入れ歯」や、「歯牙移植(*注)」がある。
【*注/親知らずを抜いて、抜歯した部分に移植する方法】
また、自由診療の「インプラント」も選択肢の一つとなる。「どれが最適なのかは、費用、審美性(見た目)、長期的な影響などが複雑に絡んでいるから、患者ごとに正解は異なる。患者の意思で治療を選択すべきだ。
●レポート/ジャーナリスト・岩澤倫彦(『やってはいけない歯科治療』著者)
※週刊ポスト2019年4月5日号