「患者や家族が延命治療の拒否を通告した後でも、いつでもそれを撤回できます。人間の気持ちは揺れ動くものなので、医療従事者は常に患者や家族の意見に寄り添う必要がある。患者の意見が変わった場合に医療従事者はその都度、患者や家族との対話を繰り返すことが大切です。
また、延命治療は受けないと意思表示していても認知症などで患者本人の病状が悪化して判断能力がなくなった場合には、家族や医師の判断で延命治療が行なわれるというケースもあります」
ただし気をつけたいのは、いったん延命治療を中止したら、再開が難しくなる時もあることだ。
「例えば、透析患者の終末期は多臓器不全になっていきます。治療を中止すると血液中の水分や老廃物を除去できず、全身状態が一気に悪化します。治療を一旦中止した後には必ず『ポイント・オブ・ノーリターン』ともいえる、もはや延命治療を再開できない時期がきます」(同前)
※週刊ポスト2019年4月12日号