ライフ

新元号で注目の「万葉集」 人妻を詠んだ歌も14首存在

古典エッセイストの大塚ひかり氏

 新元号「令和」の出典としてブームになっている万葉集。古典だからさぞや敷居が高いのかと思いきや、「万葉集には現代人が読んでも甘美で官能的な色香が感じられる歌が多くある」というのが、古典エッセイストの大塚ひかり氏だ。(以下、カッコ内は大塚氏)なかでも大塚氏が注目するのは、「人妻」について詠んだ歌だという。

「万葉集には人妻の歌が14首もあります。万葉集が編纂された7~8世紀当時の人妻観は、今の我々とかなり近い。許されざる欲望の対象として、そそるように悩ましげに詠われているのです」

 象徴的な作品が、次の歌だという。

〈比登豆麻(ひとづま)と あぜかそを言はむ 然らばか 隣の衣を 借りて着なはも〉
(大塚氏による現代語訳・人妻になぜ触れたらいけないのか。隣の着物を借りて着ないというのか)

「これは東国人が詠んだ歌で、人妻に対する欲情を堂々と全肯定していますよね。要するに、『隣の家の着物は借りられるのだから、奥さんだって借りたっていいじゃないか』という感覚です(笑い)。

 日本固有の文字がない当時、和歌や地名など日本独自の言葉は漢字の音による当て字で書かれています。人妻を『比登豆麻』と音で書いているのはこれが日本固有の熟語であった可能性を示すのではないか。現代中国でもセクシャルな意味での“人妻”という言葉は日本からの輸入語という認識だそうです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン