◆「己を知る」これが1番大事

──多くのことを経験されている岩井社長ですが、『就活の虎CHANNEL』では学生に対して「己を知れ!」とよく発言されていますよね。

岩井:僕は何度も会社を潰しかけました。ただ、潰してしまうと迷惑をかける人がいるでしょ。月末締めの支払いも出来ないわけだから。うちは企業規模が大きくないので連鎖倒産まではない。ただ長年、友好的に付き合った会社や人に“迷惑をかけること”になる。それが、どんなにやってはいけないことなのか、それを分かっていない若い人たちがいる。そういう彼らは「若いうちにどんどん失敗をして、2回目やればいいじゃん」と平然と言う。だから、腹も立つんですよ。

 今の時代、ネットビジネスで起業し、誰にも迷惑をかけずにやることも理屈では出来るのかもしれない。けれど、会社を立ち上げるってそういうことじゃないからね。

──『令和の虎CHANNEL』のコメント欄でもこういった議論で盛り上がってますよね。

岩井:「日本には民事再生法がある。だから、会社が倒産したって立ち上がる権利がある」といった酷いコメントもありました。

 確かに法律的には会社を倒産させることは正しいかも知れない。だが、こんなことを堂々と書く人と付き合う会社があるのかって話ですよ! 僕が古い人間だということとは関係なく、やっぱり違和感を禁じ得ない。会社を経営するとはどういうことなのか、仕事をするとはどういうことなのか、教えなきゃアカンなぁ、と思いましたね。

──債権者にお金を返さないまま自己破産して、違った業種で再びメディアに現れる社長もいますよね。

岩井:計画倒産だってナンボでもあるじゃないですか。でも、そうやって立ち直った人を僕は、どうやって賞賛できるんだろうと思ってしまう。ただ、ずる賢いだけじゃないか! と思います。

 今ではカリスマ視される元IT長者だって同じですよ。彼がやったことで苦しんだ人、泣いた人が腐る程いる。けれど、成功者の象徴として祀られているじゃないですか。そういった風潮って、少し前からありますよね。及ばずながら、僕くらいは反対しようかな、と思っています。

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