◆働くこと=社会貢献
──今、一括採用が問題となっていますが岩井社長はどうお考えですか?
岩井:まもなく日本も通年採用になるのではないでしょうか。
今の就職活動の様子をみると、大学生のなかには、一括採用のシステムを上手に利用できる学生もいます。部活一筋でやっていても、力があるから一ヶ月の就活で一流企業の内定を取る学生もいる。また、どちらも出来ない不器用な学生もいます。様々な学生がいるのに、一つの仕組みに入れようとするのはナンセンスですね。
理不尽な仕組みだと思っている人が多いのに一括採用がなくならない理由は、大企業が楽だからでしょう。うちぐらいの規模の会社は両手を上げて、通年採用に賛成しますよ。
──長年、ニート生活を送っていた僕も、やっと最近になって働くことに慣れてきました。岩井社長にとって働くとはどんなことですか?
岩井:歳を重ねてから気づいたことなんですが、働くこと=社会貢献だと思います。僕が大学時代に経験をした風俗産業を含め、社会貢献をしていない仕事ってない。色々と考えたんですが、社会貢献をしていない仕事ってこの世に残らないと思います。
仕事って2種類しかないんですよ。自分が社会に貢献していると感じられる仕事、もしくはそうではない仕事。まぁ、どちらにしても貢献はしているんですけど……。だったら、誰かに認められ、喜んでもらえることが目に見える仕事の方が良いですよね。仕事を通して、自らの存在価値を見つける。その時、「あぁ俺、生きてて良かった」と感じるんじゃないですかね。
【岩井社長に1時間に渡って話を伺った。長年、「働きたくない……」とぼやき続けた自分の甘えが苦さへと変わる。インタビューをしながら「もっと若い時に『令和の虎CHANNEL』を見たかった」と何度思ったことか。就職活動もすれば良かった。しかし、全ては後の祭りなのである。諦めるほかない。
ここ数年やっと仕事にも慣れてきた。慌ただしくすぎる季節も過ぎた。その先にあったのは平穏ではなくぼんやりとした不安。「なんで働くんだ?」という自分の中に巣食う悪いニートの虫が鳴き出した。そんな今日この頃に岩井社長と話せてラッキー。今後、数年間は「働くことは社会貢献、をポリシーに書いていけそう」。帰り道、そんなことを考えた。】
●いわい・よしあき/1960年名古屋市生まれ。東海高校から同志社大学文学部へ進学、大学では応援団第74代団長をつとめた。1984年株式会社リクルート入社、トップ営業マンとなる。1989年小中学生のための学習塾「大志塾」を設立。1993年に法人化し株式会社モノリスを設立。現在は株式会社モノリスジャパン代表取締役社長。『マネーの虎』(日本テレビ系)に虎として出演、人情味あふれる「教育の虎」は今もネットで人気を集めている。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)