そもそも10日間も日本全体が休みになれば、それ自体が経済にとって大きなマイナスになる。メーカーの製造工場などでは“つくりだめ”をして対応するところもあるが、全体としてみれば工業生産は減少する。正規雇用のサラリーマンと違い、非正規雇用で時間給や日給で働いている人は、休んだ分の収入減に直面することにもなる。
景気に直接的に大きく作用しなくても、じわじわと悪影響を及ぼす要因も多々ある。永濱氏は次のような例を挙げる。
「宅配便の業界では人手不足が続いていますが、連休前にネット通販の駆け込み需要が発生し、連休中は長期不在の世帯が増えると予想されます。そうなると、届け先が不在で持ち帰る率が上がり、トラブルが多発しかねない。
また、10連休中は旅行、レジャー、外食などの業界で大量の短期バイト需要が発生することが予想され、時給を上げないと人手が確保できないでしょう。人件費が高騰し、忙しい割に意外と儲からないという事態が起こり得ます。
共働きや一人親などの家庭では、保育園や幼稚園が長期の休みとなって子供の預け先を確保できず、仕事があるのに休まざるを得ないという人も出てくるでしょう」
10連休は株価にも影響するという。
「GWは日本だけの連休で、日本の株式市場は閉まっても海外市場は動いています。もし10連休の間に海外で大暴落でも起きると、市場が閉まっているため、逃げられなくなる。だから、投資家はリスクを避けるため、連休前に持ち株を売るので、株価が下がる可能性もあります」
GW明けには株価は戻るかもしれないが、世の中が節約モードに入っていると、下がったままになる可能性もある。
年末年始の休暇でも10連休になる企業はそれほど多くはなく、毎年のことなので織り込み済みだが、突然、長期休暇が生まれてしまうと経済的には悪影響のほうが大きくなる可能性があるのだ。
●取材・文/清水典之(フリーライター)