ビジネス

増大する医療費をカットするには病院・薬局経営の抜本改革せよ

医療費カットは急務(写真はイメージ)

 日本の財政危機を語るうえで避けて通れないのは過去最高を更新し続けている医療費だ。経営コンサルタントの大前研一氏が、医療費カットに必要な改革について解説する。

 * * *
 厚生労働省によると、2017年度に病気やけがの治療で医療機関に支払われた「概算医療費(速報値)」(※医療保険給付費と公費、患者の自己負担分の合計。労災や全額自己負担などの費用は含まない。約1年後に確定値として公表する「国民医療費」の約98%に相当する。)は前年度より約9000億円増えて42兆2000億円となり、過去最高を更新した。

 主な要因は、高齢化の進展により75歳以上の後期高齢者の医療費が増えたことだ。その総額は前年度から6800億円増の約16兆円で、全体の増加分の72%を占め、1人あたり医療費も75歳以上は94万2000円で75歳未満の4倍以上になっている。政府の試算では、2040年度時点の社会保障給付費は最大190兆円に達し、そのうち医療費は35%の66兆7000億円を占めると予測されている。

 この医療費を抑えるためにはどうすればよいのか?

 日本は全国民を何らかの医療保険に加入させる「国民皆保険」制度を採っているが、これは保険料の負担が多くて医療費が少ない人(高収入で健康な人)が、保険料の負担が少なくて医療費が多い人(低収入で病気がちな人)を補助することで成り立っている。いわゆるクロスサブ(内部相互補助)である。

 この制度を維持しながら医療費の増加に歯止めをかけるとなると、まず、不必要な通院を減らさなければならない。たとえば、今は家で寝ていれば治るような軽症でも自己負担が少ないから安易に病院に行く人が多い。なので、もし医師が診断して病院に来る必要がなかったと判断したら、保険適用外(全額自己負担)にする。そうすれば、不必要な通院は激減するだろう。それも保険でカバーしたいという人は、民間の医療保険に加入してもらえばよい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト