今年のGW(ゴールデンウィーク)は、4月27日~5月6日にかけて10連休もある。空前の長さの連休中に、多くの人が旅行するとみられていて、観光業や運輸業ではさまざまな企画が進められている。ただ、やはり気になるのは、クルマで移動する場合の渋滞だ。ニッセイ基礎研究所上席研究員の篠原拓也氏が、簡単な確率モデルをつかって渋滞の原因を探る。
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都市部でクルマを運転する場合、渋滞は切っても切れない問題となる。大型連休やお盆、正月の時期に限らず、土日でも平日でもクルマの渋滞がみられる。近年は“渋滞予報士”という肩書きの専門職まであらわれて、いつ、どこで、どれくらいの規模の渋滞が発生するかを予報している。
渋滞は、人間が運転するクルマが密集することで起きる。気象や地震などの自然現象と違って、人間の行動が読めれば、正確な予報ができるはずだ。そのような考え方のもと、渋滞に関する研究は、社会心理学、交通工学などのさまざまな分野で行なわれている。今回は、渋滞の発生と拡大の仕組みを、簡単なモデルをもとに紹介することとしたい。
研究では、現実の世界の出来事をなんらかのモデルに当てはめることがよく行なわれる。渋滞のモデルの基本的なものとして、「セルオートマトンモデル」と呼ばれるものが有名だ。
このモデルでは、1車線の道で、何台かのクルマが同じ方向に進んでいくものとする。それぞれのクルマは、「自分の前にスペースがあれば、前に進む」というルールで動いていく。ある時点からスタートして、次の時点(1秒後)、そのまた次の時点(2秒後)……という具合で、各時点の道路の様子を示すと、別掲(図1)のようになる。
この図では、ちょうど等間隔でクルマが動いており、渋滞は起きていない。それでは、クルマがもう1台増えるとどうなるだろうか?