◆品行方正であれば、住宅ローンが軽減

 では、地方政府による信用ポイントとは具体的にはどのようなものであろうか。各市で内容が異なるため、ここではモデル都市の1つに選出され、2018年11月に正式に運用が開始された山東省威海市を例に見てみたい。

 まず、威海市の信用ポイントの愛称は海貝ポイントだ。「海貝」(貝)は、中国古代において貨幣として利用され、富と信用を表すもので、威海市が海洋都市である点からも選出されたようである。

 対象者は、満18歳以上の威海市民となる。個人を対象とした海貝ポイントは1000点の持ち点からスタートする。評価項目は、日々の生活における行動が対象となり、最終的に、獲得したポイントの多寡に応じてAAAからDまでの6つにランク分けされる。AAAがランクとしては最も高く、B以上で一定程度信用度があると判断され、Cが信用度の警告レベルにあたる。(別掲・図表1)。

【図表1】山東省威海市で始まった市民の「信用ポイント」レベル

【図表1】山東省威海市で始まった市民の「信用ポイント」レベル

 また、海貝ポイントは、ゴマスコアなどプラットフォーマーによる商用系スコアとは異なり、学歴や職歴、家族などの個人情報は評価のポイント付与の対象外となっている。市民の生活における品行向上や法令・社会秩序の順守など、民度を引き上げる点により重きが置かれているからであろう。自身の点数は、ウェブサイトや専用のアプリなどで、氏名やIDナンバー、携帯番号を入力すれば確認が可能である(別掲・図表2)。

【図表2】自身の「格付け」はウェブサイトや専用アプリで確認できる

【図表2】自身の「格付け」はウェブサイトや専用アプリで確認できる

 では、努力して信用を維持し、ポイントを積み重ねれば、どんな特典があるのか。

 威海市は、海貝ポイントのレベルがAAA(1150点以上)、AA(1050~1149点)の市民に対して、住宅ローン、文化・体育・観光、医療サービスなど13項目の特典を設けている(別掲・図表3)。

【図表3】格付けレベルに応じて用意されている「特典」

【図表3】格付けレベルに応じて用意されている「特典」

 例えば、AAAの市民は、住宅ローンの金利が通常の金利よりも5~10%低くなる。中国において住宅は結婚などを見据えた上で重要なツールであり、高額化しているため、金利の引き下げはインセンティブとして大きい。

 また、病院に入院する際、病状の程度などに基づき一定程度の入院費を予め支払う(デポジット)必要があるケースがあるが、AAAの市民はこのデポジットを5万元分まで免除される。急な入院で多額の現金をすぐに用意できない場合を考えると、生活における一つの安心材料となるであろう。

 ただし、運用後まだそれほど経っていないことや、そもそも社会秩序、市民の品行やルール遵守を目的としていることから特典の内容はそれほど充実していない。また、信用ポイントの普及が優先され、低格付けの市民に対する罰則やデメリットなどは設けられていない。

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン