◆中国は、近い将来を垣間見る実験場

 当初、中国でこのようなシステムの導入の検討が始まったのは、脱税行為や罰金の支払い逃れなどあまりにも法が守られず、裁判所の執行力が弱かったからである。広大な国土、14億人という莫大な人口、多民族で諸格差の大きい中国において、順法倫理の均質的な浸透には膨大な時間とコストがかかることは明らかであった。

 評価システムは、その隙を突いて、品行方正な市民をつくり、社会を安全にするツールとして、また、もともと品行方正な市民がきちんと評価されるツールとして政府が導入したものである。

 中国ではIT化が急速に進んだことや、ゴマスコアなど商用の格付けが先行して浸透していたこと、歴史的に個人情報を共産党が管理する制度があることなどから、国民は評価システムをすんなりと受け入れたとも見える。いまや政府は個人を格付けし、その点数を可視化することで、寧ろ市民間の競争心理を煽っている状態だ。

 日本でもマイナンバーカードなどによる資産の把握や、キャッシュレス社会の推進による脱税防止が指摘されている。EUと同様に個人情報に対するリテラシーが高い日本では、中国のこうしたシステムがすんなりと受け入れやすい土壌にはないであろう。

 ただし、現在中国で起こっていることは、程度や形を変えて、やがては世界や日本にも広がるであろう。そういった意味でも、中国は近い将来を垣間見る、1つの実験場なのだ。

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