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2019.05.12 07:00  女性セブン

認知症女性、家から駅までの一本道を通るたびに「初めて?」

 交番手前のカフェや居酒屋が点在する道にあるホルモン焼肉店だ。どちらかといえば母が苦手な料理で、行ったのは一度きり。転居直後の頃、私の家族と母とで急いで夕食を取らねばならないときに、選ぶ余地なく入ったのだ。

 その頃は、2人して心身ともにどん底。食事は進まず、楽しくもない。もっと母が好きな店を選べばよかったと、後悔したのを覚えている。

 ところが母は、この店の前を通るたびに立ち止まり、「ここ、来たことがあるね」と言うのだ。店先の看板には店主なのかモデルなのか、親し気な笑顔で料理を差し出す女性の写真が掲げられている。

 想像だが、見知らぬ街に来て不安でいっぱいだったとき、夜の闇の中、スポットライトに照らし出されたこの女性の笑顔に救われたのだろうか。最近では記憶が色付けされ、「ここ、昔パパとよく来たのよ。この人にもお世話になったの」とうれしそうに言う。

※女性セブン2019年5月23日号

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