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2019.05.15 16:00  週刊ポスト

興福寺貫首が無人島へ持って行く一冊は中国古典『菜根譚』

興福寺の中金堂(時事通信フォト)

 今は高齢者と言っても、60代くらいではピンピンしている人も少なくない。もちろんそれは悪いことではありません。ですが、今の高齢者はかつてほど、死を実感しながら日常を生きているとは言えません。それが心の成熟を失わせてしまっている側面もあるのでしょう。

 先ほど、現代人はモノにとらわれすぎていると話しましたが、ネット社会の行き過ぎたスピード感に振り回されているとも感じます。中高生の間では、「メールやLINEの返事に何秒遅れた」などということで、仲間外れにされたり、いじめられたりといったことがあるそうですね。

 何かおかしいとは思いませんか。世の中が即物的になりすぎています。そういう時間感覚から距離を置き、自分をじっと見つめ直してみることが、心を鍛える第一歩だと思うのです。

 書店に行きますと、高齢者向けの健康法や財テク指南などを記した本や雑誌があふれています。高齢者になってなお、即物的な世界にとらわれている人が多い。

「心を鍛える」ためにまず提案したいのは、「古典を読む」ことです。毎日山のような新刊本が発売されている世の中ですが、それらは古典をタネ本としているものが少なくない。本当の知識、知恵の根源にあたってほしいのです。

 古典とは、時代が選別してきた真の良書です。一度読むだけではなく、何度も繰り返し読む価値のあるものです。座右に置ける、自分にとって価値ある一冊というものを、古典の中から見つけ出してほしい。

「無人島に本を一冊だけ持っていけるとしたら、何を選ぶか」と問われたとき、スッと具体的な一冊が頭に浮かぶようになってほしいですね。

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