「医食同源」の言葉通り、健康の重要なカギを握るのが日々の食事だ。テレビや雑誌では「これを食べると体にいい」という情報が数多く紹介されているが、むしろ注意すべきは、気づかないうちに健康に害を及ぼすリスクのある食べ物を口にしていることだ。健康管理の“プロの中のプロ”である医師に「食べないもの」を聞いてみた。
「私は50年前から牛・豚・鶏といった肉類を一切食べていません」と語るのは、70歳を迎えたイシハラクリニック院長の石原結實医師。肉類は三大栄養素のひとつであるタンパク質を豊富に含み、生物にとって欠かせない栄養源である。
しかし石原医師は、タンパク質の分解に落とし穴があると指摘する。
「タンパク質は分解産物が腎臓に大きな負担をかけるし、腸内でアンモニアやインドールといった毒素を大量につくるため、それらを分解する肝臓にも影響を及ぼし、肝炎や肝がんのリスクを高める怖れがあります。
そのため私は卵も食べず、冷え性を改善する効果のある塩鮭以外の魚も口にしません」(石原医師)
1日1食の食生活を続ける石原医師は身長161cm、体重61kgのコンディションをキープする。肉類の代わりにタンパク質の摂取源となるのは、エビやカニなどの甲殻類やイカなどの頭足類だ。
「こうした食事を万人に推奨するわけではありませんが、私は本能に従って好きなものを食べています。
肉類を食べず穀物や野菜中心の食生活でも健康でいられます。今でも100mを14秒で走りますし、ベンチプレスで100kgを持ち上げる筋力を維持していますよ」(石原医師)
※週刊ポスト2019年5月17・24日号