ライフ

とんかつ店に行列 「ロゼ色勢」も「格安勢」も好調

行列のできるとんかつ店が増加

 行列のできる店の動向は気になるもの。近年、特に元気なのがとんかつ店だ。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 大衆食がブームだ。そういう話を聞くと、ちょっとした違和感を覚える。そもそも”大衆食”という言葉自体にも大衆に広く受け入れられるという意味も含まれている。”ブーム”と呼ばれるには、人気というだけでなく何か違いがあるはずだ。

 この10年ほどで、その位置づけが大きく変わった大衆食と言えば、とんかつが揚げられ……いや、挙げられる(ああ、書いてしまった)。10年前にはいつでも入れるとんかつ店だったのに、この数年で行列必至となった店が後を絶たない。

 象徴的なのが、東京・高田馬場のとんかつ店だ。1970年代から続く特ロースやカツ丼が旨い店は10年前は食事時でも待たずに入店できたのが、近年では20名ほど行列している光景をよく見かけるようになった。駅前の商業ビルの地下にある店や、新しくできたとんかつ店の前にも人が列をなしている。

 流れを大きく変えたのは2010年に高田馬場にオープンした「成蔵」だろう。店主はこの春、令和直前に高田馬場の店舗を弟子に引き継ぎ、いったんのれんをおろしたが、この店の登場が日本のとんかつシーンの分水嶺だったと言っていい。

 分厚いロースやヒレ(この店では「シャ豚(トン)ブリアン」と言う)を低温からじっくりと揚げ、内部がきれいなロゼ色に揚げ上がったタイミングで客に提供する。開店当初は客の認知を得るのに苦戦していたが、口にした客が客を呼び、ほどなく人気店に。客をさばきながら仕入れる肉やラード、揚げ方など全方位的に磨きをかけ、近年は長蛇の列への対応に苦慮するほどの人気店となっていた。

 そして「成蔵」の行列が伸び始めたこの数年、都内に新しいとんかつ店が次々に開店した。

 特に象徴的だったのが、内部をロゼ色に揚げるとんかつ店だ。リブロース、ロース、ヒレなど数種のかつを一口分ずつ揚げ、盛り合わせ定食風にしつらえた巣鴨の「亀かわ」(2017~2019年)はこの5月にのれんを畳んだが、その「亀かわ」の素地を作った、自称”とんかつマニア”という職人が揚げる神宮前の「七井戸」(2018年~)もそうだ。

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン