国内

門田隆将氏が明かす「トランプ握手騒動」と「新聞という病」

退席時に観客との握手に応じるトランプ大統領(時事通信フォト)

 トランプ米大統領の来日を報じる数々のニュースのなかで、異彩を放ったのが大相撲観戦の後に同氏が観客と握手したひとコマに対する報道だった。当事者となった作家の門田隆将氏がレポートする。

 * * *
 新聞というメディアがいかに「国民の敵」となっているか。そのことをわかりやすく教えてくれる出来事が続いている。トランプ大統領の来日をめぐる報道など、その典型だろう。

 この30年で防衛費を50倍まで膨張させ、第一列島線に迫り、尖閣をはじめ東シナ海や南シナ海で剥き出しの領土獲得意欲を見せている中国の存在は、日本のみならず東アジア全体の脅威となっている。

 しかし、尖閣を「核心的利益」と強調し、「必要なら自国の領土(注=尖閣のこと)を武力で守る準備はいつでもできている」と繰り返す中国でも、これを「実行に移せない理由」は、ひとえに米国の存在にある。

 尖閣が日米安全保障条約第5条の適用範囲であることを明言している米国の存在によって、中国はどうしてもここに「手を出すことができない」のである。

 その米国の大統領であるトランプ氏が来日し、日本政府も、天皇皇后両陛下も、そして国民も、心から歓待していることが気に入らない勢力がある。いわゆる“反日日本人”たちだ。そのひとつが、日頃、中国の利益を代弁する論調で知られる朝日新聞や毎日新聞である。

 朝日新聞の天声人語(5月28日付)は、安倍首相の父親の安倍晋太郎元外相のことまで例に出し、〈抱きつき、泣きつき──。トランプ氏に対する度外れた厚遇ぶりには、そんな言葉しか浮かばない。骨のある外交哲学をもった晋太郎氏が健在だったなら、ご子息の今回の仕事にどんな点数をつけるだろう〉と書いた。

 天声人語子は、中国にとって最大の敵である「日米同盟」がよほど嫌なのだろう。訪日中のトランプ氏への厚遇に、ここまで感情的にケチをつけるのである。

 彼らのそのひどさのトバッチリを私自身も受けてしまった。5月27日、私は毎日新聞から「本当に安倍首相の“招待”ではなかったのですか?」という電話取材を受けた。前日の夏場所千秋楽、両国国技館で金美齢さん、櫻井よしこさん、富家孝さん、そして私の4人がいた西方のマス席にトランプ大統領が退場する際、近づいてきて、私たちが握手したことがネットで騒ぎになっていたのだ。

 ネット上では、私たちを「安倍首相があらかじめ招待していた」などというデタラメが拡散されていた。私は、それが事実ではないことをツイッターでこう発信していた。

〈大相撲のマス席をやっと確保できたので、いつもお世話になっている金美齢さん、櫻井よしこさんをご招待して千秋楽を観戦した。退場する時、安倍首相とトランプ大統領が近づいてきて、なんとお二人と握手。隣にいた私も握手させてもらった。サービス精神旺盛のトランプ氏らしい驚きのシーンだった〉

 毎日新聞は、この私のツイッターに疑念を持ち、直接、取材をかけてきたのである。私は丁寧に経緯を説明した。事実関係はこうだ。

 4月12日、産経新聞がトランプ氏の大相撲観戦の予定を1面トップでスクープした。記事を見た私は、即座にコミッションドクターとしてボクシング界やプロレス界といった格闘技界、あるいは自身が慈恵医大の相撲部だったこともあり、大相撲界にも広い人脈を持つ旧知の富家孝医師にすぐ連絡し、マス席を確保してもらった。

 さすがに普段より値段が高く、かなりの金額だった。私は富家氏と相談し、いつもお世話になっている金美齢さん、櫻井よしこさんのお二人をご招待することにしたのだ。

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン