そんなことで穴党の出番はないかもしれないが、こういうときこそ三連複だ。近年では、2009年ウオッカとディープスカイの新旧ダービー馬対決が1.8倍と3.7倍でワンツー決着だった。馬連は290円だったが、3着は10番人気で4100円ついている。三連複の払戻額が1万円以下だったのはこのときと昨年だけ。あとはすべて万馬券だ。2013年と2015年は1番人気と3番人気のワンツーで、馬連は3桁だったが、3着にはどちらも12番人気で、それぞれ18160円、40690円だった。

 もちろん1番人気1着固定の三連単のほうが払戻額は多いが、1本かぶりの1番人気が1着になったときは三連複との差はそれほど大きくない。1番人気が惜敗するリスクもあるし、1頭軸三連単マルチだと買い目が増えてしまう。ならば点数を抑え、三連複を厚めに買った方がコストパフォーマンスもいい。

 多少夢も持ちたいと考えるなら、今回は2強を含めた三連複5頭のボックスでどうだろう。残り3頭のうち穴っぽいところがくればそれなりの配当が期待できるし、2強のうち1頭が4着以下に沈めば、好配当が期待できる。なかなか考えにくいが、2頭とも沈むケースも全くないわけではない。100円ずつ10通り、1000円で十分楽しめる。

 三連単は「当てに行こう」と考えると買い目ばかりが増えていくので、ローリスク・ハイリターンだと受け止めるべきだ。資金的に余裕があるなら、当日のパドックや返し馬でビビビッと来た馬や、気になる穴馬を2着にして、1、3着をそれぞれ2強で固定した三連単も買ってみたらどうか。これだと2着に5頭選んでも10通り。オークスのカレンブーケドールのような馬を探し当てようじゃないか。

 ワイドも妙味たっぷり。馬連が290円だった2009年の一騎打ちの時、ワイドは1-3着で1300円、2-3着で1920円もついた。馬連が3桁配当だった2013年は3着がらみのワイドがともに3000円台、2015年は4000円台だ。醍醐味はいまひとつかもしれないが、リスクヘッジ以上の意味を持つ。

 人気薄で激走したのは「近走不振だがGⅠでの実績がある」馬。グランプリボスは3歳時にNHKマイルカップを勝ちながら2012年の4歳時は13番人気で、2014年の6歳時は16番人気2着で波乱の立役者となった。2014年の3着は10番人気のショウナンマイティで三連複は9万円を超えたが、彼女は前年の2着馬だった。2016年に8番人気で勝ったロゴタイプは、皐月賞を勝った後16戦未勝利だった。その後4戦未勝利だったからか、2017年の安田記念でも8番人気の評価だったが2着に粘っている。激走は繰り返すのかもしれない。

 そんなことで、昨年のこのレースを9番人気で勝って以降思うような結果が出ていないモズアスコットや、NHKマイルカップを勝った後掲示板に載っていないケイアイノーテックなどのオッズをにらみながら、パドックや返し馬を注視しようと思う。

 ただ、やはり注目はドバイ帰りの女傑が、働き盛りの牡馬を相手にどんな進化を見せてくれるのかにある。見るだけでも充分価値のあるレースになるはずだ。

●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

※週刊ポスト2019年6月7日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン