国内

元次官長男殺害 「引きこもりは恥」と考える親の問題点

息子を殺害した熊沢容疑者(写真/共同通信社)

 事件現場となった瀟洒な2階建ての邸宅は、区立小学校と隣接している。窓を開ければ運動場が目の前に広がる。それが問題だった。

 大声ではしゃぐ児童の声、リズミカルな音楽、マイクから響く競技紹介のアナウンス──6月1日の午後、運動会が出す“音”について、その邸宅に住む親子は激しい口論となった。

「うるせえんだよ! あの子供たち、ぶっ殺してやる!」

 殺気立つ息子に対し、父親は観念したように台所へと向かい、包丁を手にとった。そして意を決して息子の胸に突き立てた。もだえ苦しみ抵抗するわが子を何度も刺した。

 刺し傷は首や胸、腹など上半身に数十箇所にも及んだ。強い殺意がみられた。午後3時半、父親は自ら110番し「息子を刺した」とハッキリと伝えたという。

 元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76才)が東京都練馬区の自宅で、同居する長男の英一郎さん(44才)を刺殺した事件は、人々に複雑な感情を抱かせている。

「元次官は、川崎の事件の犯人と長男を重ねていました。取り調べに対し“息子が周囲に危害を加える恐れがあると思った”と供述していますが、その彼の体には長男に付けられたとみられるアザが無数にありました。元次官は“妻か私か、ほかの誰かが殺される前に殺すしかなかった”という趣旨の供述すらしているそうです」(捜査関係者)

 神奈川県川崎市で、20人殺傷事件が起きたのは5月28日。それからわずか4日後の悲劇だった。

 犯行後に自殺した岩崎隆一容疑者(51才)は、長期間引きこもり生活を続けていた。他人との接触を拒み、過去に近隣トラブルを起こしているなど、被害者となった英一郎さんとの共通点がセンセーショナルに報じられているが、岩崎容疑者とは異なる点もある。

 英一郎さんは都内の名門中高一貫校に入学しており、かつては東大法学部卒の父の背中を追っていたという。しかし、中学受験に成功後、歯車が狂い始めた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン