京都大学大学院教授の藤井聡氏は6年にわたって安倍内閣の内閣官房参与を務めた(時事通信フォト)

 さらに言えば、現在アメリカで脚光を浴びている「MMT」(現代貨幣理論)というものがある。これは日本やアメリカのように独自通貨建て国債市価発行しない国は通過を少なくとも過剰なインフレになるまでは限度なく発行できるため、デフレ下の日本が債務不履行になることは現実的にはほとんどあり得ないという「事実」を明らかにしている理論だ。そのため、今の日本で国債の発行残高を含む政府負債を含む政府負債が増大しても問題などない。

 一方、国会で通過した法案は、「移民政策」をはじめとして、種子法の廃止、農協改革、IRカジノの解禁、水道の民営化……などいずれも、日本のマーケットへの諸外国の大企業の参入を促すばかりだ。まさに今、「日本が売られている」状況に至っている。一部の「政商」が日本の富を海外に売り渡し、自分の会社の懐を潤しているのだ。

 さらには日米FTAの交渉を始めるに至っている。トランプ政権は、アメリカの対日貿易赤字の存在を問題視し、この貿易不均衡を是正せよと激しい圧力を日本政府にかけている。今のTPPはアメリカ抜きで発効されたが、いざ日米FTAの交渉では、TPPで日本が「差し出した」もの以上のものを「差し出す」ことを前提としてとして、日米FTAの交渉が進められるのは必至だ。

 このままでは日本は30年後にはアジアの貧国の一つとなってしまうのは確実だ。試算したところ現状が続くと世界3位の先進国どころか、現在の6割程度の年間所得250万円(中央値)へと下落し、史上初の「衰退途上国」に落ちぶれる。他国は現在の2倍に成長するにもかかわらずだ。ではどうすればいいのか。まず今、日本が衰退しているのは、繰り返すが「緊縮」主義によってデフレが深刻化しているからだ。したがって、日本再生の第一歩として、「反緊縮」が必要不可欠だ。

 それと同時に日本において「グローバリズム」とそれと連動して進められる「構造改革」がもたらす過激な自由競争の帰結として、国内産業、そして社会が激しく疲弊している。だから、日本再生のためにはこれを食い止め、過剰な自由競争を強いる代わりに、自由主義経済体制を基調としつつも、それぞれの地域産業や地域社会、文化を適切に保護し、かつ、様々な主体の間の「連携」を奨励していくことが必要だ。

 すなわち、反グローバル化・反構造改革を通した「保護・連携」の強化が必要だ。そして、対米自立を起点とした「自律・独立の確保」が必要なのである。紙幅の都合上、残りはカットするが、筆者らは仲間と共に「令和八策」というものを作成した。これらが実現すれば、必ずや日本は立ち直ることが出来ると確信している。(『令和日本・再生計画』より)

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