ライフ

雅子さまは均等法世代の女性たちの写し鏡か【大塚英志氏書評】

『皇室女子 “鏡”としてのロイヤル・ファミリー』/香山リカ・著

【書評】『皇室女子 “鏡”としてのロイヤル・ファミリー』/香山リカ・著/秀和システム/1400円+税
【評者】大塚英志(まんが原作者)

 新しい皇后が当時の皇太子と結婚する前、外務省に入省したのは一九八七年、男女雇用機会均等法が施行された翌年である。その意味で均等法第一世代であり、その彼女の結婚以降の人生に少なからず自身を重ね合わせる女性たちは少なくない。

 香山リカもその一人だ。男性と同等、あるいはそれ以上の努力を重ね社会に出て、法が平等を保証したはずなのに現実は当然異なり、結婚をすれば「妻」や「嫁」といった役割を自明の如く期待される。今でこそハラスメントの一つに数えられもするが、子供はまだかと誰彼となく問われる。

 それでも彼女の夫となった皇太子はそういう世間から身体を張って妻を擁護し、皇室記者にキレたりもしてくれたが、彼ほどには頼りにならぬ夫への憤りも含め、長い間「雅子さん」は「彼女たち」の共感の対象としてあった。それは「彼女たち」の夫の世代であるぼくたちが身近で経験してきたことでもある。

 とはいえ「適応障害」から「公園デビュー問題」まで本書で改めてお復習いすれば、国民という「小姑」(差別的表現だが)に好き勝手に翻弄された雅子さんの困難さを男であるぼくは迂闊に「わかる」とも言い難い。保護犬を引きとったらしい、犬と一緒に写真に収まっている彼女を見ると「ライナスの毛布」にも思え、そのしんどさの一端を想像するぐらいしかできない。

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン