演歌歌手としての枠を越えた存在となった小林幸子(C)カエルム NYLON JAPAN

 とはいえ、ニコニコ動画からの出演依頼を、当初、躊躇していたのも事実です。それまで歩んできた歌手人生から、最も遠いところにありました。そもそも私が、インターネットというものをわかっていない。最初の一歩を踏み出せないでいました。

 そんな時、夫が口にしたのが、この言葉でした。

「思い込みを捨て、思いつきを拾う」

「あっ!」と胸に手を当てました。私はもしかしたら、「『小林幸子』とはこう振る舞わなくちゃいけない」と思い込んでいたんじゃないかって。

 自分で勝手に“囲い”を作って、その中に自分を閉じ込めていたんじゃないか。「思い込み」という囲いを取っ払ったら、もしかしたら見たこともない新しい世界が広がっているのかもしれない。

 この「思いつき」は、私をワクワクさせてくれるものでした。

◆「ネット動画」という思いつきを拾った

 夫の林明男とは、2011年11月に結婚しました。相手は8歳年下で、当時の私は57歳。私自身、結婚するつもりはありませんでしたが、いつの間にかという感じです。

 林は、再生医療に関する事業を手がけています。最初の頃は「再生医療なんて信用できない」と口にする人も多く、ずいぶん苦労したようです。

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