■「美人」「ブス」という言葉がなくなっても……
──自信はない田村さんですが、行動する勇気はお持ちだった。それはなぜですか?
田村:失敗は怖くないんです。失敗して当たり前だと思っているから。それこそ自信がないところからくるのですが、私と付き合ってくれる人がいるのだろうかとずっと思っていましたから、付き合ってくれる人がいなくて当たり前。付き合ってくれる人がいたら、ほんとですか?? という感じになるんです。
──旦那さんにも自分から積極的にアプローチし、プロポーズも田村さんからしています。男性からしてほしいという気持ちはなかったですか? また、性欲についても赤裸々に書いていらっしゃいますが、そこへの抵抗などは?
田村:自分から行くことに関しては、待っていて何か良いことがやってくるならいいんですが、私には来ませんから、時間がもったいないと思ってしまうんです。時間は有限ですからね。とくにブスは、見た目では勝負できないぶん、若さが貴重なポイントになります。素早く動かざるを得ないんですよ。
それに、そもそも自分のことを女性だという意識はあまりないんです(笑)。世間一般的な女性らしさ、男性らしさ、という価値観が希薄というか……。たまたま私の性別が女性で、恋愛対象が男性だった、という感じですね。
──昨今、女芸人の「ブスいじり」が議論になったり、「ブス」と付くドラマのタイトルが変更になったりと、メディアにおいては、美醜にまつわる言葉の扱いは変化しつつあります。そういう状況を田村さんはどう捉えていらっしゃいますか?
田村:時代とともに価値観は変化しますし、国や文化によっても変わります。たとえば私がこの本で紹介したことは、この時代に日本社会で生きていくために、という視点に立った上での戦略だったので、たとえばグローバルに生きることを考えたら、戦略は違ってきたと思います。もしかしたら、ここまで他者評価を気にしなかったかもしれませんね。
もう一つ思うのは、美人とかブスとか、声に出して言わなくなったとしても、心の中では思うかもしれないし、仮に言葉自体はなくなったとしても、どうしたって好き嫌いは残るだろうと思うんですね。つまり、学歴や収入、性格と同じように、外見は他者に評価を下される一つの指標であるわけだから、受け入れるほうが生きやすいし、建設的ではないかと思います。