■婚活に悩む女性にも役立つアドバイス 自己肯定と自己評価は違うもの
──やみくもに行動するのではなく、「マーケティング理論」を駆使しているところに、この本の特徴があります。たとえば自分を商品と見立てて(=プロダクト分析)、いまいる場所(=市場)と、ライバルの特性(=競合)を精査しようと書かれています。
田村:商品である自分の査定にあたって、たとえばこんな指標があるのではないでしょうか、という提案として、5つの指標を出しました。「見た目」「経済力(仕事)」「学歴」「居心地(人柄)」「相性(個性)」です。見た目は、商品でいえばパッケージにあたります。ブスである私はここで勝負できないわけだから、商品価値を上げるために、他でどう点を稼ぐか、という戦略が必要になるのです。
──商品価値とともに、「どこで売るか」も大事ですね。「市場」が変わると「武器」が変わると。婚活に悩む女性にも役立つアドバイスが多数あると感じました。
田村:良い商品でも、売る市場を間違えたら売れないように、どんなに美人だって、ブスが好きな男性には好かれない。反対に、ブスだって、場所や相手が変わればモテることもある。市場と武器を関連付けて見極めるのはとても大事です。
実はこの本を出した直後に、人間を商品にたとえるのはいかがなものか、という批判をいただいたんです。でも、他者からの評価を得ないことには生きられないという点において、人間も商品と同じだと私は思うんですね。恋愛や結婚をするかは個人の自由としても、人は一人では生きられません。仕事では、会社員は会社に評価されるし、自営業だってお客さんに評価される。最初から評価を気にして戦略を立てたほうがむしろ生きやすいのではないか、というのが私の考え方です。
──田村さんにとって恋愛とビジネスは一緒ですか? キャリア女性のなかには、恋愛より仕事のほうがラク、という人もいるようですが。
田村:私にとっては同じでしたね。でも、仕事のほうがラクというのもわかります。商品のことはわかるけど、自分のことは、なかなかわかりませんから……。それに、「水」だったら、売れないならパッケージを変えようとなるけれど、同じように、自分がモテないから自分を変えようとは思わない人もいるかもしれませんね。
──田村さんはなぜ自分を客観視できたのでしょうか?
田村:自分に自信がなかったからです。私の場合、自分には何もないから、何を加えていくか、という発想に立てたんです。それは自分を変えるよりも、ラクなことだったのかなと思います。
私から見ると、みんな、すごく自己評価が高いなって思います。自分を好きでいること、つまり自己肯定力は大事だと思うのですが、評価は他人がするものですよね。だからやっぱり、ある程度は客観視したほうが生きやすいと思いますね。