ノンフィクション作家の溝口敦氏
溝口:数年前に聞いた話なんだけど、東京のキー局の男性社員はヤクザと接触して仲良くなり、本当に“深い関係”になっちゃった。
鈴木:えっ、マジですか。
溝口:そのうえ、テレビ局員が相手のヤクザに1500万円だか貸したんだけど、返ってこない。どうしたものかと私に相談してきて、「どうすんの? 警察が入ってもいいの?」と聞くと、「少しはいい」と言う。
鈴木:警察の介入が? 「少しはいい」ってどういう意味なんだ(笑い)。
溝口:まだ心残りがあったんじゃない? それで、私は警察のエライ人に相談して、その社員とつなげて、あとは知らない。事件化しなかったし、お金も返ってこなかったんじゃないかな。
鈴木:ヤクザとの距離感が分かっていないとこういうことが起きるんですよね。記者クラブでビックリしたことがありました。抗争中の暴力団から警察の記者クラブに「何月何日に出頭するから」と連絡があって、そのときに「車のナンバーを撮るな」「ぶら下がり(取材)をするな」などと暴力団が記者クラブに要求してきたんです。けど、新聞記者なんだから、「なに暴力団が好き勝手言ってやがるんだ、ふざけるな。警察に出頭するんだったら、(ぶら下がりで)聞きたいこと全部聞くぞ」くらいの勢いかと思ったら、言われたとおりに全部従ったんですよ(笑い)。おとな~しく質問もせず。