【図2】偏西風の大きな蛇行が異常気象を招く
偏西風は上空を恒常的に吹いている西風で、西から東へと流れつつ、通常はある程度南北に蛇行している。結果、寒暖や晴雨を繰り返す。しかし、偏西風の蛇行が大きくなりすぎると、暖気がそれまで以上に北へ、寒気はより南へ運ばれる。この大蛇行で動きの遅い「ブロッキング高気圧」という現象が起こり、限られた地域に極端な猛暑や豪雨などの異常気象をもたらす。
「昨年の『平成30年7月豪雨』の時も偏西風が大きく蛇行し、極端な大雨の要因の1つとなりました」(尾崎さん)
今回のフランスの熱波も偏西風の大きな蛇行が原因だ【図2参照】。偏西風が極端に蛇行したため、アフリカ大陸から熱い空気が大量に流れ込み、極端な猛暑となったのだ。アメリカ・ボデガ湾の異常も、干潮時の気温が38℃を超えたことによる。
さらに、エルニーニョ現象も要因の1つだと、饒村さんは指摘する。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域付近で、海面水温の上昇が1年程度続く現象だ。エルニーニョ現象が夏季に発生すると、東日本では太平洋高気圧の張り出しが弱くなるため、気温が低く、日照時間が少なくなる。西日本の日本海側では、降水量が多くなる。
※女性セブン2019年7月25日号