国内

九州の豪雨、仏で45℃、米の茹でムール貝 異常気象はなぜ

【図1】海上からの大量の水蒸気が梅雨前線に流入

 6月末から7月4日にかけて、集中豪雨が九州南部を襲った。雨量は宮崎県えびの市で1089.5mm、鹿児島県鹿屋市で901mmなど、1か月分の総雨量を超えた地域もあった。

 周辺の海から、水蒸気をたっぷりと含んだ空気が大量に九州に流れ込んだことが、今回の大雨のいちばんの原因だ。

 水蒸気の量が異様に増えたのは、海水温が上昇したからだ。気象庁によると、1971年から2010年までの約40年間に地球上にため込まれた熱エネルギーの9割以上が海洋に吸収されている。それによって海面水温が高くなり、海面からの蒸発が盛んになり、大気中に大量の水蒸気が供給される。そして、発達した雨雲ができやすくなり、台風が発生・発達しやすくなる。

 気象予報士の饒村曜(にょうむらよう)さんが解説する。

「梅雨前線が九州付近にとどまり、そこへ、南の海上から水蒸気が大量に流れ込んだ影響で、前線の活動が活発化しました。また、台湾付近に熱帯低気圧が発生しており、暖かく湿った空気がより入り込みやすくなってしまったのです」【図1参照】

 こうした傾向は九州に限らない。気象予報士の尾崎里奈さんが言う。

「最近は、各地で局地的な豪雨が発生しています。1時間に50mmを超える雨を観測した回数はこの数十年増える傾向にあり、国内どこでも大きな災害が起こる可能性があるのです」

◆偏西風の蛇行が異常気象を招く

 天候不順を超越した“異常気象”は、国外でも見られている。

 フランスの南部では6月28日に45.9℃を記録した。アメリカ・サンフランシスコ近隣のボデガ湾では、気温の急上昇により、岩場のムール貝が茹で上がってしまった。

 一方、メキシコでは大量の雹が降り、その除去で都市機能が一時、麻痺してしまった。 世界規模の異常気象は、どうして起こるのか。前出の尾崎さんが言う。

「上空の偏西風にその原因があります。偏西風が大きく蛇行すると、それに伴って、気象状況に極端な偏りが起きるのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン