今回、同様の容疑で北海道、愛知、岡山、福岡県の計4道県警が他にも複数の男女らを逮捕しているが、いずれも「FC2」を利用して違法動画を配信していたことがきっかけだ。著作権法をはじめとした法律は日本国内で有効な法律であり、海外でそのまま適用されることはない。それを抜け穴にして、様々な法律に反したコンテンツが配信されてきた。ところが、その抜け穴も以前ほど大きなものではなくなってきたようだ。

 悪いことだと承知して非合法な商売を手がけ、莫大な利益を上げるこうした企業やグループが、今回のような逮捕劇をきっかけに一掃される、というような青写真を描くことはできるのか。都内のアダルトビデオ制作会社関係者の見解は、極めて現実的だと言わざるを得ない。

「売れなくなったAV女優や客が来ない暇な風俗嬢などがメインだった動画配信も、エージェントのような仲介業者が絡んでセミプロのような、それこそ素人に毛が生えたレベルの『自称ユーチューバー』的な女性たちが続々参入しています。一見ニッチなようではありますが、そこそこの利益を上げられるかもしれないという空気が醸成されつつあるこのタイミングで、逮捕とはいえ個人で7000万円も稼いだというニュースが報じられたのです。

 利益を上げられるとなると、個人の判断で参入する素人女性はもちろん、出会い系サイトや婚活サイトを使って組織的に女性を集め、彼女たちを言いくるめてアダルト動画を撮影し、コンテンツとして売りさばく個人、そして“素人集団”も増えるでしょう」

 金儲けの匂いを嗅ぎつけ、二番煎じ、三番煎じの連中が登場することもまた世の常だ。最初はプロの、そして筋モノの「シノギ(仕事)」だった特殊詐欺も、今では中学生が詐欺で得た金の受け子や出し子をするまでになった。金儲けのために違法動画を作成しようという連中が、女性を騙したりするだけでなく、さらに立場の弱い未成年や子供の人権、人格を踏みにじる形で参入する日も遠くないだろう。

 これまでは法の穴を突く「確信犯」によってなされていたことが、検挙されようが金さえ稼げれば多少の実刑は厭わない人たちを呼び込んできた。今度はもっと気軽な、見つからなければ儲けものという軽い動機で違法行為に手を染める人が増えているのではないか。冒頭で例に出した逮捕されたYouTuberの罪状は「公然わいせつ」だが、その刑罰は6か月以下の懲役か50万円以下の罰金。これを足かせと考えるか、儲けと天秤にかけてなんでもないと受け取るのか。

 犯罪への考え方が明らかに違う、普通だったはずの人が増えている。そんな、新たな不安要素についても考えなければならない時代になっているのではないか。当局や大マスコミは犯罪抑止効果を狙って素人による悪事の浅はかさを報じているが、逆効果を生んではいないか。これまでと同じような情報を提示することではない、犯罪を思いとどまらせる方法を編み出す時期になっているのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン