国内

昭和世代にいまだはびこる「仕事をするならまずは飲み」

昭和の「飲みニケーション」は健在?

昭和の「飲みニケーション」は健在?

 作家の甘糟りり子氏が、「ハラスメント社会」について考察するシリーズ。今回は、ある男性の言動にわが身を振り返り…。

 * * *
 原稿を書くのとは別の仕事があり、数人のチームで動くことがあった。私が発注をかけたのは中年男性のクリエーター。旧知の方だ。発注後の処理は三十代の女性が担当するので引き継いだところ、その男性に「挨拶に来い」といわれたそうだ。私から「挨拶」しておくから、わざわざ行かなくて大丈夫ですと彼女には伝えた。彼の拠点はやや遠方である。距離的なことだけではなく、仕事上の関係性においても必要はないと私は判断した。

 ところが、事務的な連絡をしているうちに、再度「挨拶に来い」という要請があったそうだ。「取引するのに、顔を見せないのか」といわれ、担当の女性は自分の休日を使って、彼のイベントに出掛けていった。イベントの終わりには二人で飲みにいった事実を後から聞かされた。

 飲みに行った先で何かあったわけではなく、クレームとして私に伝わってきたわけではない。あくまでも世間話として、彼女の上司からそれを聞かされた。わざわざこちらにいってくるのだから、それなりに否定的な感情があったのだろう。

「私から、そういうことはやめてほしいといいましょうか?」

「いやいや、それには及びません。ただ、まあ、甘糟さんにはお知らせしておいたほうがいいかと思いまして」

 そのクリエーターは私よりもずっと年上である。LINEはしていないし、メールでの連絡も好きではないようだ。コミュニケーションというのは、顔を合わせた上でするものと思っている。

 三十代の女性に何か性的な野心があったわけではないだろう。けれど、今は、相手が断りにくい立場にあるのにお酒を誘うのは、それだけでルール違反。六十をかなり過ぎた男性にその感覚を理解しろというのは酷だろうか。

 あれこれ考えたけれど何もいえないままでいると、今度は上司の男性に何度かこういう電話があったという。

「飲みに行くぞー!」

 その上司も一度、酒に付き合った。楽しいお酒でしたよ、という報告をされたのだが、私の中ではざわざわが大きくなった。私が発注したばかりに、彼ら彼女らに余計な時間を取らせてしまったのではないだろうかと思った。お酒が入ると、「俺話」に終始される方だ。本当に楽しいお酒だったのだろうか。

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン