実をいうと、東海道新幹線の肉声アナウンスは2018年6月から緊急通報装置・非常ブザーに関する案内から始まっている。話題になった肉声による英語アナウンスは、到着駅・出口方向を案内するもので、これは2018年12月から開始した。
一方、先行していた緊急通報装置・非常ブザーに関する案内は2019年3月から自動放送に切り替えられた。なんでも肉声アナウンスにしているわけではないのだ。
「ハード・ソフトそれぞれの利点や効率性を検討の上で、放送案内に取り組んでいます。増加する訪日外国人のお客様への必要なご案内ができるようにすることが目的です」(同)
乗務員の英語訓練は社内で集合研修をおこなっているほかに、定例訓練も実施。また、職場単位でも英語委員会等が中心となって勉強会を催し、オンライン英会話で訓練することもあるという。
東海道新幹線ばかりが注目される車掌の肉声アナウンスだが、JR東海は在来線でも肉声による英語アナウンスを始めている。
「現在は、東海道本線の熱海駅・沼津駅・静岡駅・浜松駅、御殿場線の御殿場駅・松田駅、身延線の富士駅・富士宮駅といった主要駅で肉声による英語アナウンスをしています。また、名古屋駅―長野駅間を走る特急しなのは遅延などが発生した場合に肉声で英語アナウンスをおこなっています」(同)
英語の肉声アナウンスを始めているのは、静岡地区が先行している。これは「2019年に静岡県でラグビーワールドカップが開催されるためです。また、2020年の東京五輪でも静岡県内で開催される種目があります。そのため、静岡県内で率先して始めています」(同)
ほかの地区の在来線に関しても、「順次、準備が整った地区から始めていく」(同)という。
訪日外国人の増加傾向は鈍化しているものの、減退する兆しは見られない。ゆえに、今後も肉声の英語アナウンスを聞くことができる路線や駅は増えることは確実だ。そして、肉声による英語アナウンスは磨きがかかるとともに内容も充実していくだろう。JR東海の肉声による英語アナウンスは、他社の国際化を刺激するに違いない。