2015年末に結ばれた慰安婦合意を受けて立ち上げられた「和解・癒し財団」も、“外交的非礼”に見舞われた。日本政府との合意もなく、韓国政府の意思により、この7月5日に一方的に解散されたばかりでもある。
今年5月、「歴史や慰安婦問題に対する反省がない」と安倍晋三首相を名指した韓国国会決議に、菅義偉官房長官が「友好国の首相を名指しする形の決議は非礼」と断じたのも記憶に新しい。
文在寅政権の発足以降、日本政府に対する韓国政府の“外交的非礼”は目に余るほど頻繁ではないか。だが、それは今に始まったことではない。1995年には韓国政府との事前のすり合わせを経てアジア女性基金が設立され、内閣総理大臣の手紙と償い金が元慰安婦に送られた。韓国政府は当初はこれに「協力する」と評価していたが、慰安婦支援団体や韓国メディアからの反対があり、後にそれを覆す事態となった。
日本に対してだけではない。韓国の外交的非礼といえば、「台湾との断交」を忘れるわけにはいかないだろう。韓国と台湾の国交が途絶えたのは、1992年8月のことだった。そのことを「外交的に非礼を極めている」と回想する人物A氏に、かつて台北で話を聞いたことがある。A氏には、政府の関係機関でそれなりの職位であったこと以外は身分を一切明かさないという条件で、インタビューに応じてもらった。
A氏によると、そもそもかつての台韓関係は蜜月状態だった。両国はアメリカの同盟国のなかで共産主義国家に対峙する最前線であり、朝鮮戦争でも台湾は相応の犠牲を払ったこともあり、「両国は血で結ばれた兄弟のような存在だった」という。
それが暗転したのは、韓国の一方的な断交による。通常、断交の通知は非公式には半年以上前に送られてくるもので、それが外交的な礼儀というものだと前置きしたうえで、「韓国だけは全く違った」と断言する。