国際情報

韓国と日本 「外交的非礼」なのはどちらの国か

7月15日の文在寅大統領による「日本批判」を報じる韓国各紙(時事通信フォト)

「韓国政府への重大な挑戦だ」──文在寅大統領は、日本政府による韓国への輸出優遇策撤廃を受けて強い言葉でそう批判した。韓国国内では、日本側の対応を「外交的非礼」と指摘する声もあるという。どういうことか。ソウル在住ジャーナリストの藤原修平氏が報告する。

 * * *
 日本政府による半導体材料の対韓国輸出優遇策撤廃(事実上の輸出規制強化)が7月4日に実施されたことを受け、公共放送の韓国KBSは、7月6日の夜に討論番組を放送した。その中に世宗大学教授の保坂祐二氏の姿があった。

 保坂氏といえば、竹島を韓国領だと主張し続け、慰安婦問題でも「日本の非」を唱えることで韓国では広く知られた人物だ。2003年に韓国に帰化している。

 その保坂氏は開口一番、今回の一件で日本政府は韓国政府に対して「外交的非礼を働いた」と主張した。両国間の貿易と経済交流を縮小させる経済制裁という重要事項を、実施のわずか4日前に発表するのはありえないほどの「失礼」に当たるというのだ。

 今回の措置について、日本政府は、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する上で必要な日本国内での「運用の見直し」だと説明している。だが韓国では政府も社会も、「日本政府が企んだ経済制裁」の一点張りだ。韓国は日本を“自由貿易を阻む悪者”に仕立て上げ、WTO(世界貿易機関)への提訴で勝利し、日本にお灸を据えて韓国の言い分や立場をそのまま日本に押し付けたいのだ。

 保坂氏の言葉もそうした韓国社会の風潮が背景にある。だがそれでも、“外交的非礼”をここで持ち出すとは想像していなかった。

 これまで韓国政府は“外交的非礼”を日本政府に対して延々と繰り返してきたことは周知のとおりだ。最近の例で言えば、徴用工訴訟での韓国大法院判決に対し、政府としては何もしないまま、日本企業に賠償を負わせようとする方針がそれだ。こうした賠償問題に関しては、1965年の日韓国交正常化のときに結ばれた請求権協定により、「完全かつ最終的に解決」されている。55年近くも前に法的に決着がついていることを、今更ながらひっくり返している。

関連記事

トピックス

佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン