もちろん、まだまだ芸人としてトップレベルにいない、会社の稼ぎ頭でもない若手が、率先して声を上げるなんてできないし、できるような立場ではないことはわかる。これまで何十年に渡り、この体制が維持されてきたのだ。おいそれと発言などできないと思うのが当然だろう。
傍観者効果が起きる理由の1つに、「行動を起こした結果を懸念したり、不安に思う」という心理がある。若手芸人には、もし行動を起しても、「不満があるなら他の事務所へ行け」と言われたり、契約を解除されたりしたらという不安もあっただろう。それでも好きで入った吉本が、これを契機によくなってほしい、自分たちの待遇もよくしてほしいという願いから、声を上げた芸人も多いと思う。
これに対して、ベテラン芸人たちの思いはちょっと違うようだ。オール巨人さんは「若手が批判に近いツイ―とをするのは、良いとは思いませんね」とコメントし、太平サブローさんは「気にいらんかったら辞めろ」と一喝。どちらの言い分ももっともなだけに、尚更、収拾がつかなくなっている。
ついには、加藤さんが『スッキリ』で自らの発言がきっかけで事が大きくなったことを謝罪。松本さんは『ワイドナショー』で「今は黙っておいた方がいいのかな」と言いつつも、「芸人が一体となって会社を改善して」とも話した。
「少しいい方向が見えてきた」という松本さんだが、傍観者でいられなくなった若手芸人たちを抱え、吉本はどう変わっていくのだろうか。