ライフ

認知症の84才母、現住所は忘れても疎開先の地名は忘れない

認知症が進んでもずっと覚えていることもある不思議

認知症が進んでもずっと覚えていることもある不思議

 父の急死によって認知症の母(84才)を支える立場となった女性セブンのN記者(55才・女性)が、介護の日々を綴る。

 * * *
 最近、地震や豪雨が頻発し、危機感は募る一方だ。普段は穏やかな認知症の母も、いざという時、どう反応をするのか不安は尽きない。そんな母が、悲惨な災害を伝えるニュースを見て、ぽつりと戦時中のことを語り始めた。

◆認知症の母が災害時にどうなるか不安…

 梅雨には豪雨、夏は猛暑、大地震の予測確率も急上昇と、抗いようのない自然の脅威が迫る今日この頃。各地の災害ニュースを見るにつけ、「明日はわが身。でも本当にそんな事態になったら…」と、具体的な準備も心構えもない私はおろおろするばかり。 

 特に認知症の母のことは心配だ。幸い母はまだ自力で動けるし、母の住むサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)では、災害時用の備蓄はもちろん、避難は常駐の介護職の人がサポートしてくれる契約だ。

 でも当の本人が、災害の大混乱に巻き込まれたらどうなるだろう。不安の多かった独居の頃、ひどい妄想や暴言にまみれた鬼のような母を目の当たりにしたので、またそれが再出現するのではと恐怖が募るのだ。

 この7月、災害級だった九州豪雨の時、ちょうど母の定期通院だった。病院の待合室の大型テレビには、濁流の氾濫や避難所で不安そうな表情を浮かべる高齢者のインタビューが流れていた。

 画面に目が釘付けになり、思わず「怖いね」とつぶやいてしまったが、私でさえ怖さを感じる映像だから、母には刺激が強すぎただろうかと恐る恐る母を見ると、意外にもクールな目でじっとテレビに見入っていた。

◆74年前の戦争の爪痕を思い出していた母

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン