国内

田中角栄、宇野宗佑ほか歴代首相が頼った「最強ヤクザ」

ソウルの国立墓地を訪ねた柳川次郎(左端。出典:日韓親善友愛10年小史)

 現在、政治家はヤクザと交流どころか、会うだけで議員生命を失いかねない。だが、かつては密接に結びついていた時代があった。田中角栄、宇野宗佑ほか歴代首相が頼ったのが、山口組きっての武闘派・柳川組を率いて、「殺しの柳川」として恐れられた柳川次郎(1991年没)である。ジャーナリスト竹中明洋氏が綴る。

 * * *
 ベルリンの壁が崩壊し、世界情勢も激動していた1989年、自民党は難局にあった。前年に発覚したリクルート事件によって当時首相の竹下登が辞任に追い込まれていた。後任選びは、ポスト竹下と目されていた安倍晋太郎や宮澤喜一らが軒並みリクルート事件に関与していたため難航した。

 結局、お鉢が回ってきたのは、竹下内閣の外相で、中曽根派ナンバー2だった宇野宗佑となった。知名度には乏しいが、クリーンなイメージがある宇野ならこの年7月の参院選を乗り切れるのではないか。そんな思惑も党内にはあった。

 しかし、宇野が首相に就任するや、神楽坂の芸妓との女性スキャンダルを「サンデー毎日」に報じられてしまう。

「もし愛人になってくれたらこれだけ出す」

 宇野が指三本(30万円)を示して愛人となるよう求めたという芸妓本人の告発は政権を直撃し、参院選でも結党以来初めての過半数割れとなる歴史的な惨敗をした。69日間の短命政権に終わった。永田町の裏事情をよく知る政界フィクサーがこの時の舞台裏を明かしてくれた。

「宇野さんが辞める原因となった相手は神楽坂の芸妓ですが、これとは別に祇園に女がいたんです。むしろこっちが本命でした。宇野さんが総理になるにあたり、これを隠さないといけないということになり、それを柳川さんに相談したんです。柳川さんは『分かった』とだけ言って、京都の現役組長と相談して女をしばらく韓国に匿ってくれた。結局、神楽坂の芸妓との一件が報道されたのでこの工作は意味がなくなってしまったわけですが、柳川さんたちはビタ一文取らずに素晴らしい手際の良さでした」

 政治家といえば、田中角栄とも関わりがあった。これはあるジャーナリストの証言である。

「ロッキード事件の裁判をやっている最中に田中の秘書の早坂茂三から頼まれて、早坂と柳川の会食をセットしたことがある。当時、田中はいろんなややこしいところから目白台の自宅に街宣をかけられて大変な状況になっていたので、その対応を相談するためだった。当時は右翼の親玉であるはずの児玉誉士夫ですら、右翼青年にセスナ機で自宅に突っ込まれるくらいだったから」

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」