ライフ

江戸時代の医学書が教える、長生きのための四季の過ごし方

『老人必用養草』は、誰が読んでもすぐに理解できるように簡潔な文章で書かれている

 江戸時代中期に活躍した伝説的名医である香月牛山(1656-1740)が書いた『老人必用養草(やしないぐさ)』に注目が集まっている。

 ここには、現代にも通用する健康で長生きするためのヒントが多く詰まっている。みずからも85才という長寿を全うした牛山の知恵から、四季の過ごし方を紐解いてみよう。

 四季の過ごし方にも名医の知恵が光る。牛山は「1月から2月の間は寒いから遅く起きるべきで、逆に夏は早起きした方がいい」としているが、諏訪中央病院名誉院長で脳卒中の死亡率が全国ワースト2位だった長野県を日本一の長寿県へと導いた鎌田實さんによると現代に通じる考え方だという。

「太陽に当たると幸せホルモンとも称される脳内伝達物質セロトニンが分泌されるので、太陽が昇る時間に合わせて起きるのがいい。冬は早いとまだ日が昇っていないうえ、早朝寒いところに出て行くと血圧が急に上がりやすいから避けた方がいい」

 睡眠についても、さらに言及が続く。

《眠過る時はその眼を害す 眠の欲を禁ずべきなり》《昼はねぶりて夜は眼さむるなり》と「寝すぎてはいけない」「昼寝はするな」ということも強調している。(以下、《》内は『老人必用養草』からの抜粋)

 帯津三敬病院名誉院長の帯津良一さんも同意して言う。

「これは現代にも通じることですね。80代になれば夜に5時間眠ればいいといわれているし、昼寝もできればしない方がいい。5分程度なら構いませんが、30分以上昼寝をすると疲労感が出てその後の活動に支障をきたすうえ、夜によく眠れなくなる」

 熱帯夜が続く今日この頃だが、無理して長時間眠る必要はないようだ。

◆夏はすいかと葛切り

 加えて、特に今のような夏の暑い時期は、葛切りやすいかを食べることを推奨している。高齢者の健康に詳しい新田クリニック院長の新田國夫さんはこう言う。

「高齢者の体は熱を感じにくくなり、のどの渇きを感じる能力も衰えるため、熱中症になりやすい。こういった食べ物を習慣的にとって体を冷やし、水分を補給するのはおすすめの方法です」

撮影/浅野剛

※女性セブン2019年9月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン