「そう。私が方々で俳句の種を蒔いているのも、人生をより強くしなやかに生きられる人間を増やしたいからなんです。俳句というアイテムを一つ持っているといろんな形で救われますよ、しかも俳句は毎日詠むうちに期せずしてホームランが出るから、それは二つとない貴方が生きた証になりますよって。
子規さんもそんな思いで病床からメッセージを発信していた気がするし、もし彼が現代に生きていたら、俳句甲子園や『プレバト!!』だって、『俺が出る!』って絶対言うと思う!(笑い)」
そんな飾り気のない姿を、日々の句を通じて彫刻した本書に、愉快で時に辛辣であらゆる命を尊んだ子規の、新たな肖像を見た思いがした。
【プロフィール】なつい・いつき/1957年愛媛県生まれ。京都女子大学卒。愛媛県内の中学教諭を経て俳人に。1994年に第8回俳壇賞、2000年に第5回中新田俳句大賞を受賞し、現在は俳句集団「いつき組」組長。全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の運営や、松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」選者、初代俳都松山大使等、精力的に活動し、MBS『プレバト!!』の辛口添削でも人気。松山在住だが、小中高生を集めた「句会ライブ」や講演で全国を「トランク一つで」飛び回る旅の日々。152cm、O型。
構成/橋本紀子 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2019年9月6日号