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2019.09.03 07:00  週刊ポスト

GSOMIA破棄なら半島危機も ソウルが金正恩に占領される

この人が暴走すると…(AFP/時事)

 さらに深刻なのは、アメリカの信頼を失ったことだ。エスパー米国防長官はわざわざ8月上旬に訪韓し、〈GSOMIA維持〉を求めていたが、韓国は反対に、破棄という選択をした。

「GSOMIA破棄は、この協定を〈対北侵略同盟の象徴〉と見る北朝鮮が求めてきたことです。同盟国であるアメリカの要求より、仮想敵である北朝鮮の言い分に従った格好で、米韓同盟の根本に疑問を投げかけたに等しい」(同前)

 韓国は、戦後一貫して米国と行動をともにすることで自国の安全保障を確立してきた国だ。韓国国防部(省)も継続を求める中、青瓦台(大統領府)主導の今回の決定に、不穏な兆候を感じるのは軍事ジャーナリストの井上和彦氏だ。

「GSOMIAの維持の要請と並行して、韓国はアメリカから在韓米軍の防衛費分担金について現在の1兆389億ウォン(905億円)から約5倍に引き上げるよう圧力をかけられていました。あくまで推察ですが、北朝鮮に対する思い入れから南北統一を目指す文在寅政権はアメリカの要請に反する協定破棄の決定を通じて、暗に〈在韓米軍も撤退してほしい〉と伝えようとしていたのではないか」

 井上氏の想像通りなら、朝鮮半島に“力の空白”を招きかねない危険な選択だ。いざ北朝鮮が暴走して地上部隊を南進させれば、軍事境界線からわずか約40kmの距離にあるソウルは火の海になりかねない。

 1950年6月に北朝鮮軍が突如、38度線を突破して南進を始めた際には、韓国軍は奇襲に全く対応できず、ソウルはわずか3日で陥落。金日成の率いる北朝鮮軍は、南へと侵攻を続け、数か月後に韓国軍は釜山まで追い詰められた。その後、アメリカを中心とする国連軍が仁川上陸作戦を敢行して形勢が逆転したが、中国義勇軍の参戦などもあって国境線は現在の38度線に再び落ち着いた経緯がある。

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