300万人が犠牲になったこの朝鮮戦争の歴史を振り返るまでもなく、北朝鮮と地続きである韓国が負っている地政学的リスクは、日本よりもはるかに大きいし、それゆえ国土の防衛はアメリカの軍事力により大きく依存してきた。その韓国がアメリカに背を向けることのリスクは非常に大きい。
「想像したくもありませんが、北朝鮮が社会主義体制を維持したままの“連邦国家”というかたちで実質的に朝鮮半島が統一されるという、韓国の国民でさえ誰も望んでいないようなシナリオが現実味を帯びてくる。もちろん、それは日本にとってもリスクですが、韓国にとっては国家の存亡にかかわってくる事態です」(井上氏)
日米に背を向けたGSOMIA破棄決定の代償は、とてつもなく大きいものになるかもしれない。
※週刊ポスト2019年9月13日号