問題はどうしても買い目が多くなってしまうことだ。三連複は上位に来そうな馬のボックス買いをするファンが多かったが、三連複で10通りだった5頭ボックスが、三連単では60通りになり、最低でも6000円の投資になってしまう。18頭立てなら4896通りの組み合わせがあるわけで、まさにハイリスク・ハイリターン馬券。シェアが大きいのも、買い目が多くなって購入金額が増えているからだろう。
ただし高額配当だからといって、人気薄ばかりの組み合わせというわけでもない。今年上半期に行なわれた1629レース中、10万円以上ついたレースは379回あるが、勝ち馬の3割は1~3番人気。百万馬券は49回あるが、そのうち21レースでも1~3番人気が絡んでいる。その他10万円以上ついたレースの主な傾向は──
●1着馬は6~9番人気が3割、10番人気以下が2割2分
●7割は10番人気以下、またはオッズ50倍以上の馬が1頭絡んでいる。絡んでいないレースの勝ち馬の8割は4番人気以下
●1~3番人気のうち2頭が絡んだのは16回しかなく、そのレースでのもう1頭は8番人気以下
三連単で買い目を絞り、高配当を狙うには「軸2頭マルチ」がオススメだ。過去の好走歴(着順より着差を重視)、パドックや返し馬の気配などから、4番人気以下の2頭を軸に選び抜き、相手には1~3番人気と、その他気になった穴馬2頭の5頭で30通り。懐具合によって相手は増減すればいい。
なお今年単勝オッズ50倍以上の馬を3着以内に持ってくることが多かったのは、野中、菊沢、坂井、国分恭といった若手騎手だ。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。
※週刊ポスト2019年9月13日号