ビジネス

「出戻り社員」の採用 企業文化を変える大きなインパクトに

人手不足が叫ばれる中、出戻り採用に積極的な企業が増えている

人手不足が叫ばれる中、出戻り採用に積極的な企業が増えている

 一度退職した人材を再び雇用する“出戻り採用”を積極的に行う企業が増えている。だが、復帰する側からすれば、いくら勝手知ったる仕事とはいえ、かつての上司や部下との立場が変わっていれば気まずい空気にもなるだろう。果たして出戻り採用にはどんなメリットがあるのか──。働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏がレポートする。

 * * *
 あなたは、一度退職した会社に戻りたいと思ったことはあるだろうか?

 しゅふJOB総研が仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦層”に、一度退職した会社に復帰したいと思ったことがあるかを質問したところ、「ある」と回答した人が56.2%いた。

【表1】しゅふJOB総研アンケート(有効回答数=744)

【表1】しゅふJOB総研アンケート(有効回答数=744)

 働く主婦層の場合、会社に不満があった訳ではないものの、出産や夫の転勤などが理由で仕方なく退職したケースも多い。そのため、他の属性よりも高めに出ている可能性はあるが、それでも機会があれば復帰したいと考える人の比率が半数を超える結果が出たのは注目に値するだろう。

 一度退職した社員に職場復帰してもらうことを出戻り採用などと呼ぶ。“出戻り”という言葉を少し皮肉まじりに捉える人もいるが、パナソニックやサイバーエージェントなど大手企業が積極的に出戻り採用の取り組みを実施する中で、今では一般用語化しつつある。

 海外では元社員を「アルムナイ」と呼ぶ。アルムナイとは、卒業生や同窓生を意味する英語で、コンサルティングファームのアクセンチュアなどが積極的にアルムナイのネットワークを構築していることが知られている。

 先のアンケートでは、元社員の職場復帰について賛否も調査したところ、次のような結果となった。

【表2】しゅふJOB総研アンケート(有効回答数=744)

【表2】しゅふJOB総研アンケート(有効回答数=744)

「自分が復帰する立場でも、復帰を受け入れる立場でも賛成」と答えた人が85.6%と、大多数を占める。働く主婦層は元社員の職場復帰に柔軟な考え方を持っているようだ。

 厚生労働省によると、令和元年7月の有効求人倍率は1.59倍。1人の求職者が、約1.6の求人から選べる計算だ。そんな採用難の状況に苦しむ企業にとって、出戻り採用の推進は有効な施策の一つとなりうる。働く側が職場復帰に柔軟な考えを持ってくれているとすれば、出戻り採用の推進はスムーズに広がっていきそうだ。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン